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『形のない物』…例えば…実際にいろいろな体験をさせること、「手作り」という「行為」など、…と言う考え方でした。
里子として預かった娘達にも同様の態度で臨みました。
実際問題として、子供に体験させるには、親が一緒につき合わねばならないことが多いのです。月曜から土曜まで仕事で、日曜日にも家でゆっくりするでなく、子供と山を歩きに行かなければならないとは……と嘆くふりをしてみせても、それはそれで親にとっても楽しいものです。「手作り」については、金銭さえ動かせば物を手に入れる事が出来る現在で、創造に拠って物を手に入れる方法で、子供の心に残る「プラスα」を期待する気持ちも在ったと思います。
こちらは家内がはりきりました。実子が男の手なので、女の子の方が年齢的に見ても長期間手作り服を着せられると思ったようでした。
あらためて発見もありました。子供は、例えば自分の服などを手作りしてもらう時、途中の過程をも楽しむという事です。袖を縫えば手を通してみて、襟を縫えば当ててみて、鏡の前で「ニヤッ」と笑っているのは、何とも微笑ましいものでした。

 

 

 

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